
この記事はポッドキャスト Episode 56:僕は『ノーランくん』が好き(17:15)の内容を書き起こし、読みものとしてまとめ直したものです。
クリストファー・ノーランを初めて知ったのは、30歳ぐらいの頃だったと思います。
『メメント』を観て、衝撃を受けました。
観た方ならわかると思うんですけど、あの映画は「Uの字」なんですね。時系列が逆になっていて、Uの一番下のところがエンディングになっている。とても不思議な映画です。
当時は公式サイトも公開されていて、そのドメインが「メメント」を逆から読んだ綴りになっていたんですね。映画の構造になぞらえて、ドメインまで逆さにしている。
そういうギミック的な、トリック的な部分には「一体何がやりたいんだろう」というツッコミどころもあります。時間をいたずらに動かして、だから何なの、と。
でも僕は、そういうのがもう好きなんですよね(笑)
僕が何かと使っているアカウント名に「ENIGAMID」というのがあります。
これも『メメント』を観たときに作った造語です。反対から読むと「D-Imagine」になるんですね。
僕はジョン・レノンが好きで、「イマジン」という言葉自体が好きなんです。想像してごらん、と。そこに自分の「D(大介)」を入れてひっくり返した。「大介、想像してごらん」という、自分へのメッセージみたいなものです。
当時Gmailを取って、それをずっと使っています。6文字ぐらいでキーボードでもバババッと打てるので、結構便利なんですよ。
映画の情報は、YouTubeの「ブラックホール」というチャンネルでよく見ています。大好きなチャンネルです。
そこでノーランの作品を順に追っていく「ノーランマラソン」みたいな企画をやっていて、この間の金曜日は『インセプション』から『TENET』あたりまでの回でした。
出演されている3人は、映画を深く理解していて、多くの映画を知っている方々です。そんな方たちだからこそ見える視点が必ずあるんですね。
で、その中でノーランは相当な言われようなんです。本人たちは「ディスっているわけではない」と言うんですけど、どう聞いてもディスってるようにしか聞こえない(笑)
世界の映画界のトップを走っている監督なのに、扱いとしては「ノーラン君」みたいなノリなんですよね。僕の中では「ノーラン様」なんですけど。
たしかに、子どもっぽいというか、中二病みたいな部分があるのはなんとなくわかります。年を重ねて、多くの映画を観てくると、納得がいかない部分が見えてくるんだろうな、というのも強く感じました。
でも腹が立つことは一切なくて、むしろ興味深く聞いています。毎回2時間ぐらいのライブなんですけど、今回も面白かったですね。
『TENET』は、IMAXで観に行きました。
IMAXって、実はどこにでもあるわけじゃないんです。よく見かけるものは「ライマックス」と言われる、いわば偽マックスで、本物は日本に2つだけ。大阪のエキスポと、池袋のほうです。
僕は大阪のほうで『TENET』を観たんですけど、映画体験として本当に素晴らしかった。
画面がほぼ正方形なんですよ。字幕がほぼ真ん中にある。
通常の映画は、上映のためにアスペクト比が切られてしまうんですね。それが切られずに映されるのが、ちゃんとしたIMAXなんです。単純に情報量が多くて、日頃は隠れて見えない部分まで見える。迫力が違います。
横長のシネマティックなフォーマットも、隠れることでドキドキ感が生まれる素晴らしいものだと思います。でもIMAXは、どこまでいっても「体験」なんですね。
もともとはカナダあたりのエンタメ企業が開発したもので、映画とは違う未知の体験としてスタートした。そこにノーランが目をつけて映画に使い始め、予算のある映画で次々と採用されていった、という背景があると思います。
ノーランの僕がすごく好きな部分に、音が非常にうるさい、というのがあります。
うるさいと言うと耳に障るように聞こえるかもしれません。実際、人によっては耳障りだと思います。めちゃめちゃうるさいので。
でも僕は大好物なんです。『TENET』も最初から爆音で、本当にすごかった。
当時、妻と一緒にエキスポまで行ったんですけど、妻は大きな音が苦手なタイプなんですね。だから「絶対見ないほうがいいよ」と勧めて、妻にはエキスポの中で時間を潰してもらって、僕は一人で3時間観ていました。
観終わった後の一言目が「本当に来なくてよかった」でしたから(笑)。それぐらいの爆音なんです。
僕はマイケル・マンの『ヒート』が大好きで、続編が制作されているという噂を聞いて「それを観るまでは絶対死ねない」と思っているぐらいなんですけど、あの銃撃戦のバリバリという機関銃の音。ノーランの音には、あれをオマージュしているような、影響を受けているようなところがあると思うんです。
ああいう音を劇場で聴くと、それだけで「映画館に来てよかったな」と思える。そういうものを引き継いでいてくれるのが、すごくいいんですよね。
9月11日からは、ノーランの新作『オデュッセイア』が公開されます。アメリカでは正規のIMAXの予約が完全に埋まって全然取れないらしく、今の映画界にとってノーランがいかに偉大かがよくわかります。
僕は映画にそこまで詳しいわけではないんですけど、一応1000本ぐらいは観ていて、映画の話になると思い出がいっぱいあって長くなりがちです。
IMAXを体験したことがない方には、ぜひおすすめします。映画というものの見方が変わりますので。
こんな感じで、これからも映画の話をしていきたいなと思っています。
🎧 この話は音声でも聴けます: Episode 56:僕は『ノーランくん』が好き(17:15)