企画の考え方

伝わる形は、
つくる前に決まっている。

実際にお渡ししている企画の考え方を、そのまま公開しています。 発注を検討する前の、判断材料としてお使いください。 社内で共有していただいて構いません。

Shine a Light / 小林大介 — 徳島県牟岐町

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なぜ「つくったのに伝わらない」が起きるのか

映像ができた。パンフレットもできた。サイトも新しくなった。 それなのに、何も変わらない。

よくある話です。そして、たいていの場合、つくったものの質が低かったわけではありません。 起きているのは、もっと単純なことです。見た人が、次にどこへ行けばいいのか決まっていなかった。

映像は人の心を動かします。ただ、動いた心には行き先が要ります。 「いい町だな」と思った次の瞬間に、その人が開けるドアがない。 だから、感動はその場で消えます。

制作を発注するとき、私たちは「何をつくるか」から話し始めがちです。 映像にするか、冊子にするか、サイトを直すか。 けれど順番が逆で、先に決めるべきは「受け皿」のほうです。

02

受け皿から逆算する

考える順番を、こう入れ替えます。

  1. 最後

    その人に、最終的にどうなってほしいのか。 移住の相談に来てほしいのか、商品を一度試してほしいのか、 「来年も来よう」と思ってほしいのか。ここを一つに絞ります。

  2. その手前

    そこへ行く直前、その人は何を見ているのか。 窓口の電話番号か、詳しい記事か、他の人の実際の声か。これが受け皿です。ここが空のまま入口だけ作っても、人は落ちません。

  3. 入口

    受け皿まで連れてくるのが、映像や写真の役目です。 ここでようやく「何をつくるか」が決まります。

この順で考えると、つくるものが変わることがあります。 「映像を1本」の相談から始まって、映像は短いものを3本にして、 代わりに受け皿となる読み物を用意したほうがいい、という結論になることもある。

逆に言えば、受け皿を持たない制作会社は、この提案ができません。つくれるものが映像だけなら、答えは映像にしかならないからです。

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実例:徳島県牟岐町(2018年〜)

徳島県南部の、海と山に囲まれた小さな町です。 「町外へ魅力を発信したい」——最初の相談は、よくある一言から始まりました。

つくったのは、二つです。

入口

プロモーション映像

観光スポットの紹介ではなく、そこに流れる時間の豊かさを撮りました。 夜明け前の静けさ、山に差し込む光、透明度の高い海。 「訪れたい場所」から「戻ってきたい場所」へ、意識をつなぐ構成です。

受け皿

町のメディア「MUGIZINE」

映像で心が動いた人が、次に開けるドア。 景色ではなく、そこに生きている人にフォーカスしたWeb版ZINEとして企画し、 取材・執筆・運営まで担当しています。

重要なのは、これが2018年から現在まで、途切れずに続いていることです。 映像は公開後、移住相談窓口でも広く拡散されました。 MUGIZINEは今では町を代表する広報媒体になり、 「更新が楽しみ」という声が町内外から届いています。

単発でつくって納品していたら、どちらも起きていません。 入口と受け皿を同じ手で、同じ時間軸で持ち続けたから、この形になりました。

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最初の3ヶ月で、何をするか

実際にご一緒する場合、はじめの3ヶ月はこう進みます。 撮影に入るのは、たいてい3ヶ月目です。

1ヶ月目|聞く
担当の方だけでなく、現場の人にも会います。 資料に書かれていることより、資料に書かれていないことのほうが大事です。 この段階では、まだ何をつくるかは決めません。
2ヶ月目|決める
誰に、最終的にどうなってほしいのかを一つに絞り、受け皿から逆算した設計をお出しします。 ここで「つくるもの」が確定します。 当初のご相談と違う結論になることもあります。理由も含めてお話しします。
3ヶ月目|つくりはじめる
撮影・執筆・実装に入ります。 企画した人間がそのまま現場に立つので、 2ヶ月目に決めたことが、途中で薄まりません。

05

この考え方が向かない場合

正直に書いておきます。次の場合、私に頼むのは最適ではありません。

  • 納期が1ヶ月を切っている。設計に時間を使う進め方なので、短納期では持ち味が出ません。 撮って編集するだけなら、もっと速い会社があります。
  • つくるものがすでに完全に決まっている。仕様が固まった発注は、それを得意とする制作会社のほうが安く、速い。
  • 大規模な同時展開が必要。分業しないぶん、一度に抱えられる件数は多くありません。 全国規模のキャンペーンは代理店の領域です。

逆に、まだ何をつくるか決まっていない段階でご相談いただけるほど、 できることが増えます。いちばん困っているときが、いちばん相談のしどきです。

続きは、お話ししながら。

ここに書いたのは考え方だけです。実際にどうするかは、 その土地とその人たちを見ないと決まりません。 まずは一度、オンラインで聞かせてください。

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